《え、僕? 僕はー……坊っちゃんがまだまだ小さい時に、ウチの屋敷に飾られていた僕に気づいて……だったかな》
《あら、私と似た感じなのね》
《そう、なんだ》
シャルティエは内心焦りを覚えたが、何とか平静を保ち言葉を返す。
一方ディムロスは、何やら悩んでいる様だった。
《しかしセインガルド王の口振りだと、国は我の安置場所を知っていたようだな。我々の安置場所も機密事項だった筈だが》
《現役なのは情報将校だったイクティノスだけね。でも彼が漏らすのは考え難いわね》
《ふむ……そういえば、あのヒューゴという男、やけに神の眼に詳しい様な気がしたが》
あの鋭い目付きの男の事を口にすると、シャルティエが思い出した様に告げる。
《そういやヒューゴって、昔は学者だったみたいだよ? レンズエネルギーの研究して、ついに現実の物にして今に至るとか。
ああ、ディムロスの捜索を進言したのもヒューゴだったかな。表向きには国力の強化ってらしいけど、坊っちゃんが言うには学者としての単なる好奇心とか》
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bkm
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