「笑うな!」
「ゴメンゴメン。とにかく内緒にするから、落ち着いて」
「うー……」
穏やかな笑顔で宥められたルーティは俯き、小さな声で何やら呟いている。
かと思いきや、笑顔のスタンに向かい叫んだ。
「このっ、スカタンがァーー!!」
今更覆す事も出来ない。
「セシル」
リオン等が戻ったのは、それから少し経った後だった。
穴の中の二人はすぐに引き上げられる。
「助かったよ、ありがとう」
「まったく、軽率な行動を取るからこんな事になるんだ」
少年はスタンに向けて言ったが、恐らく遠回しにルーティも非難している。
それに彼女が、気づかない筈が無い。
「あ、あのさ」
意を決した様に、彼女はハッキリとした声で話を切り出した。
「その……ゴメン、迷惑掛けて」
その言葉に一番驚いているのはリオン。スタンは笑顔だ。
「な……」
「ルーティ……!」
人は誰しも、変われるのだろうか。
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bkm
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