13

「言われなくても、分かってるわよ……」

「じゃあやっぱり、自分を大事にした方が良いよ。もし死んだりしたら、その人達悲しむよ。
 えっと、こういう時は……ほ……本末転倒。そうだ本末転倒だよ」


 芯が強くなければこんな事は出来ない。

 なんて、羨ましい。


「……何よ、偉そうに……家出したアンタにだけは言われたくないわよ」

「あ、アハハ……これこそ、本末転倒かな」


 笑う青年に対し、彼女は深い深い溜息をつく。


「アンタってホント――」


 ルーティの言葉が途中で切られ、セシルはどうしたのだろうて首を傾げる。

 すぐに原因は分かったが。


「アンタ、血出てるじゃない! アタシの下敷きになったから――」

「このくらい大丈夫だって」

「ちょっとした怪我でも死ぬ時があんの! 他人には自分を大事にとか言って……本末転倒にも程があるわよっ」

「う、うん……」


 流石にスタンも、すまなさそうにしている。


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bkm

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