「言われなくても、分かってるわよ……」
「じゃあやっぱり、自分を大事にした方が良いよ。もし死んだりしたら、その人達悲しむよ。
えっと、こういう時は……ほ……本末転倒。そうだ本末転倒だよ」
芯が強くなければこんな事は出来ない。
なんて、羨ましい。
「……何よ、偉そうに……家出したアンタにだけは言われたくないわよ」
「あ、アハハ……これこそ、本末転倒かな」
笑う青年に対し、彼女は深い深い溜息をつく。
「アンタってホント――」
ルーティの言葉が途中で切られ、セシルはどうしたのだろうて首を傾げる。
すぐに原因は分かったが。
「アンタ、血出てるじゃない! アタシの下敷きになったから――」
「このくらい大丈夫だって」
「ちょっとした怪我でも死ぬ時があんの! 他人には自分を大事にとか言って……本末転倒にも程があるわよっ」
「う、うん……」
流石にスタンも、すまなさそうにしている。
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