「俺は村に帰らないとなー、リリスにどやされそうだけど」
笑うスタンに、不意に低い声がぶつけられる。
「アンタは良いわよね、能天気で」
「え?」
「……!」
言った本人であるルーティの言葉が詰まったのを見るに、無意識による言葉だった様だ。
耳の良いスタンの事だから、聞き逃してはいない筈。
「……ルーティ、あのさ」
「あーうるさい! アンタはもう喋らないで! さっきから気分悪いのよ!」
「ゴ、ゴメン……」
「……なん、で、そんな素直に謝んのよ! 男なんだから、少しは反論したらどうなの!?」
「いや、確かに俺勝手に色々喋ってたし」
「いい子ちゃんかアンタは! その割にはズケズケ訊いてくるし!」
冷静さを失ったレンズハンターはまくし立てる。
「恵まれたアンタには分かんないわよ恵まれない人間の気持ちは!
自分を大事にしろですって? アタシはそんな悠長な事言ってらんないの! 今すぐにでもお金が必要なの!」
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bkm
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