同じ客員剣士の少年は、僅かに口元を引きつらせている。
「とに、かく、早く抜けた方が良いな」
「あ、ちょっと待って」
ルーティが行動に移ろうとしたリオンを制止し、モンスターの残骸に近寄る。何をするのかと思えば、屈み、地面を調べ始めた。
「……何をやってる」
「レンズを回収してるに決まってんでしょ? アタシはレンズハンターよ?」
「ああ、そうだな。だが今は回収してる場合ではないだろう」
「大丈夫よ、すぐに終わるから」
聞く耳を持たないルーティは、熱心にレンズを探す。
リオンは呆れ果て、深々と溜息をつく。
「モンスターに食われても知らんぞ」
「だから大丈夫だって、仲間の断末魔と死体の臭いに群がって来ないだろうし」
それはレンズハンターとしての知識で、確かではある。
しかしそれでもリオンは苛立ちは隠せず、隣のスタンも心配そうに彼女に歩み寄ろうとした。
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bkm
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