《皆、不用意に動くでないぞ。暗闇に潜む生き物は、耳が非常に発達しておるものじゃ》
クレメンテの助言に皆は従い、呼吸を潜め武器を握り締める。
モンスター達は、焚かれる火の音を頼りに徐々に距離を詰めて来ていた。
「……皆、構えてて」
小さな声で指示を出したセシルは傍に落ちていた石を拾い、勢いよく離れた壁にぶつけ音を響かせる。
結果、モンスター達はその音に引かれ壁に向かい移動した。
「さっすがセシル!」
「いいからさっさと突っ込め!」
リオンに急かされたスタンは、他の前衛陣と共にモンスターの群れに斬り掛かる。
奇襲に近いそれに、モンスター達は断末魔を上げながら倒されていく。
「ブリザード!」
「ホーリーランス!」
ルーティとフィリアの晶術も重なり、掃討は短時間で終了した。
皆は篝火の周りに集まり、一息つく。
「ちょっと、ビビっちゃったな……」
「な、情けないな、客員剣士とあろう者が」
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bkm
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