セシルの問いに答えるフィリアの声は、僅かに震えている。それは無理も無い話だ。
皆は時折互いを確認しながら、篝火台に火を灯しつつ進む。
「火は点けっ放しで大丈夫なのか?」
「風通し悪いし、ちょっと湿度が高いから、すぐ消えると思うよ。ソーサラーリングの火力で一発で点いたのは良かったけど」
先程何故スタンがソーサラーリングを持っているのか訊いた所、ウッドロウという男性に貰ったと言っていた。
ソーサラーリングは一般的にはあまり流通していない物。セシルはまさかそんな事はと思いながら、その話は終わりにしている。
「今の所は、大丈夫ね」
「でも、こういう時が一番――」
火を点け、皆は言葉を失った。
まだ距離はあるが、眼の無い大口のモンスターに囲まれている。
「危ない……」
「現在進行形でな……」
最早一種のホラーだと言っても、過言では無いだろう。
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bkm
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