「……何か、いかにも、って感じだね」
「だが此処を進むしかない。男の話では目印に篝火の台置いてあるらしいから、それを見つけていかないとな」
「……何か今、変なの聞こえなかった?」
「聞こえた聞こえた」
「モンスターの声みたいだな、しかも大型の」
「お、大型……」
海底洞窟の入口の前で、彼等の足は止まった。
《初級晶術でも考えて使わんとな。うっかり、何て事になったら、笑えない話だ》
《それに視界の悪さと狭さが問題ね。出来れば戦闘は回避したい所だけど》
《海底じゃあ自然光はほぼ無いだろうしね……携帯用のライトはあっても、それで戦闘は……》
《ま、免れぬ戦闘は手短に済ますのが良いじゃろうなァ》
進まないという選択肢が存在しない以上、彼等は意を決し足を踏み入れる。
入口から近い部分はまだ視界は訊くが、当然ながら進めば進む程暗闇は濃くなる。
「フィリア、大丈夫?」
「は、はい……!」
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bkm
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