町人の女性は軽く俯き、三人に知っている事を話し始めた。
「モリュウからの商船の人に聞いたんだけれど……つい先日トウケイ領主のティベリウスが突然モリュウに攻め入ってね、フェイト様と、その奥方のリアーナ様を捕らえてしまったんだよ。しかも港も封鎖されちゃって……此処はまだ大きな変化は無いけれどねェ……」
女性は深い溜息をつき、呆れ気味に続ける。
「ジョニー様がしっかりしてくださったらね……きっと、フェイト様を救って、ティベリウスも打ち倒してくれるんだろうに」
「あの、ジョニー様って、確か……」
「うんうん、ウチの領主様の三男坊の事だよ。昔は素晴らしい若者だったのに、最近は道化だか何だか知らないけど遊び歩いて……フェイト様の御親友である筈なのにねェ……」
「親友……」
心の何処かに引っ掛かりを覚えた。
何が引っ掛かっているのだろうか。
「第一、あのフェイト様がティベリウスに屈する筈がないんだ。きっと奥方様等を人質に取られて――」
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bkm
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