船内では、ルーティが深い溜息をついていた。
「どうしたの?」
「んー、ちょっとね……」
隣に腰を降ろし、セシルは肘をつく彼女を見る。
「アンタさァ、あのイレーヌっていうのと付き合い長いの?」
「そうだな……リオン程ではないけどね」
「そ……」
苛々している様な、不安そうにしている様な、ルーティは浮かない顔をしている。
イレーヌの名が出ている以上、今の状態に彼女の存在が関わっているのは確かだろう。
「あのさ……貧富の差って無くせると思う?」
「んー……イレーヌには悪いけれど、今の世の中じゃ無理かな。憎むばかりで、相手を理解せず自分も変わろうとしない……そんな人間ばかりだから」
「そっか……まあ、そうよね」
セシルの答えに、ルーティは安心したのか微笑を浮かべた。
「理想語るのはいいけど、実現しない事にはなーんの意味も無いわよねェ」
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bkm
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