暫く静かな時間が過ぎ、不意にスタンが訊いた。


「なあ、リオンは好きな人って居るか?」

「なっ……!?」


 田舎の青年らしからぬ質問と、かなりストレートな内容にリオンは言葉を失う。

 二人のソーディアンも、それは同じだった。


「……リオン? どうしたんだ?」

「い、いや……べつに……」

「そうか? ――でさ、好きな人居る?」

「べ、つに、僕はそんなの居ないが……」


 見え見えの嘘だが、スタンは気付かず納得している。

 そして彼は一つ息をつき、自分に問い掛ける様に言った。


「イレーヌさんって綺麗な人だよなー」

「……お前……」


 青年は微笑を浮かべ、友人に語る。


「見た目も綺麗なんだけどさ、何て言うか……心もって言うのかな、凄い綺麗なんだ。バルックさんもそうなんだけど、誰かの為に頑張れるってホント凄いなって」

「……そうか」


 恋というよりは強い憧れの様に、少年は感じた。


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bkm

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