甲板でリオンは思っていた。
あと何回、船に乗れば解決するのだろうかと。
「アクアヴェイルは町中でも船で移動するというのは本当なのか……?」
そう、先程フィリアが言っていた。
恐るべし、アクアヴェイル。
「……シャル、随分と静かだな」
《え……?》
ノイシュタットでバティスタの逃亡が発覚した朝から、シャルティエは妙に口数が少ない。普段は窘められる程お喋りだというのに。
「何か気掛かりでもあるのか?」
《い、いえ、こんなに頻繁に船に乗る事もそんなに無いだろうなー、と思って》
「そう、か……」
今の返答は恐らく嘘、長い付き合いだから分かる。
彼は冗談は言っても、リオンに嘘をつく事は殆ど無い。だからリオンは、引っ掛かりを覚えた。
「あ、リオン!」
「――! スタンか……」
歩み寄って来たスタンはリオンの隣に立ち、青い海を眺める。
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