「世話になったな、イレーヌ」
「ううん、私はちょっと手助けをしただけよ。任務、無事に終わる事を祈ってるわ」
「フフッ、ありがとう」
手短にそれを済ませ、二人は皆を連れ船に乗り込む。
スタンが船に乗ろうとした時、イレーヌが声を上げた。
「スタン君! 勝負、忘れないでね!」
「ハイ!」
大きく手を振り返し彼が乗り込んだ所で、船はアクアヴェイルへ向けて動き出した。
「……コングマン、凄い泣いてたね」
「え、ええ……お熱い、方でした」
《なかなか良い男だと儂は思うがのう》
「それは、存じ上げてますが……、その、あまり熱いのは、得意ではないと言いますか……」
クレメンテの言葉に、フィリアは困りながら言葉を選んでいる。
神職者は大変だと、セシルはつくづく思う。
「人付き合いは難しいね」
「セシルさんでも、そう思うのですか?」
「ああ……、人間っていうのは、仮面を被るモノだからね」
それは、一体誰の事か。
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bkm
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