13

「世話になったな、イレーヌ」

「ううん、私はちょっと手助けをしただけよ。任務、無事に終わる事を祈ってるわ」

「フフッ、ありがとう」


 手短にそれを済ませ、二人は皆を連れ船に乗り込む。

 スタンが船に乗ろうとした時、イレーヌが声を上げた。


「スタン君! 勝負、忘れないでね!」

「ハイ!」


 大きく手を振り返し彼が乗り込んだ所で、船はアクアヴェイルへ向けて動き出した。


「……コングマン、凄い泣いてたね」

「え、ええ……お熱い、方でした」

《なかなか良い男だと儂は思うがのう》

「それは、存じ上げてますが……、その、あまり熱いのは、得意ではないと言いますか……」


 クレメンテの言葉に、フィリアは困りながら言葉を選んでいる。

 神職者は大変だと、セシルはつくづく思う。


「人付き合いは難しいね」

「セシルさんでも、そう思うのですか?」

「ああ……、人間っていうのは、仮面を被るモノだからね」


 それは、一体誰の事か。


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bkm

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