「だが厄介な事に、アクアヴェイルには屈強な海軍がある。海上では奴等は最強に等しい」
「でも、海からじゃないと行けないんだよな?」
「ああ……イレーヌと話してみるか」
簡単な朝食の後、話し合いの場は持たれた。
案の定、イレーヌの反応は優れない。
「よりによってアクアヴェイルか……。うっかり領海に入ってしまったってだけで、攻撃を受けたって報告もあるのよね……」
「それにグレバムが加わったとすれば、更に厄介になったと判断すべきか」
「よね……、でも行かないと、もっと大変な事になるんでしょう?」
「ああ……」
判断が難しいこの状況、彼女は考え込む。
それは長い様で、短い時間だった。
「分かった、商船を装って領海ギリギリで貴方達を下ろすわ。そこから先は、私にはどうにも出来ないけれど……」
「いや、アクアヴェイルに行けるだけで充分だ。贅沢を言うつもりはない」
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bkm
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