深夜、セシルは誰も居ない街の広場に居た。

 襲撃によるダメージは残っているが、早期解決により被害それほど大きくはない。


「セシル」

「……イレーヌ?」


 背後から声を掛けられ、彼女は振り向く。

 予想通り、イレーヌがそこに居た。


「どうしたんだい、こんな時間に」

「それは私の台詞よ。メイドから貴女が散歩に出たって聞いたから……」

「そうなんだ、よく此処って分かったね」

「此処から見る空が好きって、前に聞いたから」

「あー……」


 そういえば言ったかな、とセシルは笑い夜空を見上げる。

 その隣に、イレーヌが立つ。


「何処から見ても空は一緒なのに、地上は境界線だらけね」

「人間は地の上でしか暮らせないからね、仕方ないさ」

「仕方ない、かァ……何だか身も蓋も無いわね」

「それが人間だからね」

「仕方ない、って事ね」

「うん」


 仕方ないで済んだら、何て楽だろうか。


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bkm

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