「屋敷にマリアンっていうメイドが居ただろ?」
「うん」
「彼女、リオンの母親に似てるんだってさ」
「母親……」
僅かにルーティの声色が変わった事に、アトワイトは気付く。
「よく彼女に相談されるんだよね、リオンの人間関係とか食べ物の好き嫌いとか」
「何か、本当に母親みたいね」
「でしょ? 彼女も自分が母親に似ているらしい事は知ってるから、それもあるかもしれないけどね……」
「同情って事?」
「さあ、どうなんだろうね」
彼女はまた笑うが、何処か暗いモノが見え隠れしている様にルーティは感じた。
それが何なのかまでは、分からないが。
「アンタは、何でアイツの傍に居んの?」
「私は……、仕事、だからかなァ……?」
どれが正しい答えなのだろうか。
ルーティも不思議そうな顔をしている。
「アンタって――」
言葉を遮り、部屋のドアが開いた。
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bkm
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