「ね、リオンの少し貰ってもいい?」

「は? ……あ、ああ、構わない、が」


 挙動不審になりながらアイスキャンディーを渡すと、彼女は躊躇せずにバニラ味のそれを食べる。

 リオンが呆然としていると、セシルは彼を見て微笑んだ。


「食べないの?」

「えっ、あ、い、いただきます……」


 小さく一口食べてみるが、緊張のせいか味がよく分からない。

 シャルティエは、苦笑している。


「んー、やっぱりスタンダードもいいね、ありがとう」

「ぼ、僕の、方こそ……」


 アイスキャンディーを交換し、二人は食べ進めた。

 天気は良く、広場から見える海は穏やかだ。


「こんな風にゆっくり出来る時間が、ずっと続けばいいのに……」

「セシル……」

「そうしたらさ、君とずっと一緒に居られるのにね」

「え……あ、そう、だな……」


 笑っているが、何処か暗いモノが見える。それは決して、良いモノではない。


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