「さくら味?」
「期間限定の味ですよ」
「期間限定……よし、じゃあバニラ一つと、さくら一つで」
注文すると、すぐにアイスキャンディーは差し出された。代金を払ってから受け取り、リオンの隣に腰を降ろす。
「はい」
「ああ……ありがとう」
バニラ味のアイスキャンディーを受け取ったリオンは、少々落ち着き無く食べ始めた。
やはり周りの眼が気になるらしい。
「――ん、美味しい。期間限定とは言わず、ずっとやればいいのに」
「さくら味か?」
「うん。……って、何で知ってるの?」
「…………」
甘い物に関して決して妥協しない。それが、リオン・マグナスという少年。
「一口食べてみる?」
「え!? いや、それは……」
《坊っちゃん、ここは断っちゃ駄目ですよっ》
「う……」
愛剣に背中を押された彼は、恐るべしアイスキャンディーを受け取った。
それから暫し、どうしたものかと考え込む。
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bkm
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