メイドに少し出てくる事を伝え、二人は街の広場に向かう。
静かな上流区域から離れると、街は見合った賑やかさを見せる。
「一見すれば、豊かなんだろうけどね……」
「……ん」
時折、小さな子供が働いているのを見掛けた。
貧富の差というものを、街そのものが体言している。
「この世の中、絶対悪なんて無いんだよね。ただ力が在るか無いかだけでさ」
「……罪人は絶対悪じゃないのか?」
「絶対悪だったら情状酌量なんて必要無いよね」
「…………」
自分と共に過ごす前の彼女は、一体どんな境遇だったのか。
リオンはそれを知りたいと思う一方、知るのが怖いとも思う。
「アイスキャンディー、何味がいい?」
「僕は……バニラでいい」
「分かった。私は何にしようかな……」
広場に到着するとセシルは真っ直ぐ屋台に向かい、メニューを見る。リオンはベンチに腰を降ろし、悩んでいる彼女を見つめた。
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bkm
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