スタン等が屋敷を出て行った後、セシルとリオンはメイドの案内で応接室へと移動した。

 紅茶を用意するとメイドは退室し、室内に居るのは二人と一本。


「……良かったのかい?」

「何が」

「アイスキャンディー」

「…………」

「君、甘い物好きだよね」


 彼の心境は手に取る様に分かる。

 男が甘い物なんて、といった所だろう。


「――イレーヌ、忙しそうだね」

「そう、だな」


 時は過ぎていく。


《坊っちゃん、セシルとデートとかどうです?》

「馬鹿かお前は」


 イレーヌは戻って来ない。


「リオン、暇だね」

「……ああ」


 スタン等も戻って来ない。


「……アイスキャンディー買って来ようかな」

「……!」

「リオンも一緒に行かない? すぐ戻ればいいし、私が奢るって形なら大丈夫でしょ?」

「……ん」

《坊っちゃん、デートですよっ》

「うるさい」


 甘い物が好きでもいいじゃないね。


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bkm

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