「此処がイレーヌの屋敷だ」
リオンが足を止めたのは、立ち並ぶ屋敷の中でも一際大きい屋敷の前。
外観は周りと比べ質素ではあるが、地位の高さを知るには充分だった。
「大きいなー……」
「伊達にオベロン社の幹部はやっていないという事さ」
苦笑しながらセシルが玄関ドアをノックすると、すぐにドアは開きメイドが現れた。
「リオン・マグナスとセシル・オルグレンです。ダリルシェイドから連絡が行っていると思うのですが……」
身分証明の為の書状を差し出すと、メイドは一つ頷き皆を屋敷内へと招き入れる。
しかしすぐに、申し訳なさそうに告げた。
「実は、お嬢様は現在出掛けておりまして……すぐに戻ると思うのですが……」
「ん、そうか……」
彼女も忙しい身故に、不在も仕方ないだろう。
だが此方も急ぎの身、ただ待つというのは時間が惜しい。
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bkm
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