決意の固い青年の言葉。
リオンは呟く。
「アイツ、完全に自分の立場を忘れてるな」
「まあまあ……真剣に取り組んでくれてるんだから、良しって事でさ……」
《そうですよ坊っちゃん、ディムロスが褒めるなんて珍しい事が起きましたし》
シャルティエの一言に、アトワイトが小さく笑う。
そこに、マリーがご機嫌な様子で戻って来た。
「あ、マリー! ちょっと、何処行ってたのよっ」
「アイスキャンディー屋」
「へ?」
「美味しかった」
満面の笑顔の彼女に、ルーティは脱力する。
周りは苦笑や呆れの反応だが、スタンだけが別の反応を見せた。
「アイスキャンディーか……噂には聞いてたけど――」
《菓子に現を抜かしている場合ではないぞ》
「わ、分かってるって」
《まったく……》
ディムロスの溜息を最後に、皆は再び歩き出す。
足を踏み入れたのは、富を持つ者達が暮らす上流区域。
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