数秒後、リオンは手を離し味方だと言った彼女を見上げた。
「セシル、僕は、――いや、何でもない……先に城に行ってるから」
返事を聞かず彼は踵を返し早足で去って行く。
暫く小さな背中を見送っていると、背後から先程聞いたばかりの声を聞いた。
「人間とは弱い物だな、お前もそう思うだろう?」
「貴方が強大過ぎる……と言った方が、貴方に相応しいのでは?」
「相変わらず口の上手い奴だ……だからこそ、あの小僧の傍に置いているわけだが」
「……そうですね……そろそろ城に向かった方がよろしいのでは? 計画は順調に進んでいるのでしょう?」
指摘に対し背後の人は低く笑う。
「腕が立つ上に口も上手く、気が利くときたものだ、此処はお前の言う通りにしよう」
足音が離れていく。窓から入る日の光が、今は鬱陶しく感じた。
「全て……計画通りに――」
その為に自分は此処に居る。
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bkm
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