雰囲気から察するに、二人は知り合い以上の間らしい。
バッカスという名の青年は、深い溜息をついた。
「何で此処に?」
「村長の使いでな。ていうかお前、いきなり家出とか……リリスちゃん心配してるぞ」
「あ……そっか……」
「……すぐ、帰って来れるのか?」
彼の問いに、スタンは俯く。
それだけで理解したのか、バッカスは再び溜息をついた。
「詳しい事は聞かないおくけどさ、手紙でいいから元気だって家族に伝えろよ?」
「うん、分かった、ありがとう」
「よせよ、俺はリリスちゃんが落ち込んでるのを見たくないだけなんだ。それにいずれは……」
「ん?」
「いや、何でもねェよ」
バッカスの言葉の意味を察したのは、スタンではなく他の面々。
そんな彼等にバッカスは軽く頭を下げた。
「あの、コイツ丈夫だけが取り柄な世間知らずな馬鹿だけど、根っこはイイ奴なんです。多分もう迷惑掛けてるかもしれないけど、よろしくお願いします」
「バッカス……」
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bkm
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