彼女の話を聞き、スタンはふと呟く。
「なんか……カルバレイスみたいだな。貧富とか、余所者とか」
「良い着眼点だね。結局、人間に根本的な違いはあまり無いという事かもしれない。違うのは過程だけでさ」
まるでセシルは、己に言い聞かせる様に告げた。
そして、イレーヌの話に戻る。
「それでイレーヌは、ノイシュタットの貧富の差を無くす為に活動をしてるんだけど――」
「けど?」
「ある意味バルックよりも苦労してるかもしれんな。貧と富が同じ地に居て、その間に常に立たなければならないんだ」
言葉の続きをリオンが口にし、セシルは頷く。
その表情は、少々呆れ気味だった。
「人類皆平等……ある意味コレは真理かもしれないけどね」
その言葉に、ルーティが僅かに反応する。
何が当たり前で、何が当たり前じゃないのか。
「ただ、人間は弱いからなァ……」
人間は。
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