リオンの表情が更に険しくなった。当然と言えば当然なのだが。


「よって、今回国王陛下直々に奴等の取り調べを行う事となった。
 そこでリオン、お前は任務の責任者として罪人を連れ陛下の下に行け、私もソーディアンが拘わる故直ぐに城に上がる。
 セシルは城で待機し、取り調べが終わり次第飛行竜の捜索に向かうのだ……分かったな?」

「――かしこまり……ました」

「了解しました……失礼します」


 一礼し二人は広間を後にした。

 人の気配の無い廊下でリオンが足を止め俯く。


「今更だが……奴は本当に血も涙も無いんだな……自分の娘だと気づいているだろうに……」

「エミリオ……」

「僕は……あんな奴の手足になるなんてゴメンだ……だから早く奴を、見下せるくらいに――」


 少年の小さな野望。それを背負うには彼は弱く、哀しい。

 セシルは彼の白い両の手を取り告げる。


「一人で抱え込まないで……私は君の味方だから」

「……ああ」




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