バルックの全力馬車に揺られた一行は、カルビオラに一番近い海岸で船に乗り彼と別れた。
リオンは、甲板でやはり青い顔をしている。
「バルックの奴……絶対わざとだ……」
《笑ってましたもんねェ……》
「強がりも大概にしろっていう彼なりのメッセージかもしれないね……」
セシルが彼の背を撫で、溜息をつく。
「野郎……次会った時、目にモノ見せてやる……」
「うん……まあ、頑張れ」
酔いと怒りと情けなさで、すっかり丸くなった背中。
その姿からは、普段の厳格な雰囲気は感じられない。
「ベッドで休んだ方が良いんじゃないかな?」
「いや……、アイツ等に伏せっている所を見られるなんて一生の恥だ……」
「友達になったのに?」
「友達……?」
「違うの?」
カルビオラを出る前まで、彼はスタンと話し込んでいた。
会話内容は戦闘時の立ち位置についてであり、以前より幅広く作戦を立てている様だった。
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