彼女は不気味に笑っている。
コレを見たら“彼等”は、何と思うのだろうか。
「まさか、ヒューゴ様を裏切るつもりではないだろうな?」
「な……私は……」
「冗談だ。貴様が我等を裏切る筈がないものなァ?」
「……ああ」
オベロン社を裏切るつもりは毛頭無い。
ヒューゴが掲げる“計画”は、彼の悲願を達成させる事が出来るのだ。
「では、そろそろ行こうか」
「……もう一つ、質問の余地をくれ」
返ってきたのは沈黙。
それを肯定と受け取り、バルックは問う。
「君の体調不良は、演技か?」
「答えるに値しない」
結局、彼女は何一つ答えずに立ち去ってしまった。
“本当”の彼女を知る者は、どれだけ存在するのか。
「演技……演技、か……」
胸を押さえ、セシルは皆が待つ部屋へ向かう。
「コレが、演技なら……」
私は、大した役者だ。
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bkm
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