ハーメンツでの捕り物から一夜、首都ダリルシェイドにある屋敷の広間で二人の客員剣士は一人の男性と顔を合わせていた。
ヒューゴ・ジルクリスト、一代でエネルギー鉱物“レンズ”の研究により世界の科学を進歩させた世界的企業オベロン社総帥。
彼は低い声で二人に言葉を掛ける。
「昨日の任務、非常に見事だった二人共。指名手配犯だけではなく、ソーディアンを、それも二本回収するとは……さぞ陛下もお喜びだろう」
「総帥自らの言葉、光栄に御座います」
「――――」
セシルは丁寧な返しと共に、リオンは無言のまま、深々と頭を下げた。微笑を浮かべている彼女に対して、少年の表情は非常に固い。
「しかしだ、話はそう単純なモノではない」
「と、言いますと……」
「お前達も気づいているだろう、回収したソーディアンの片方は消息不明となった飛行竜に積んであった物だ。それを持っていたという事は、奴等が飛行竜失踪事件の容疑者だろう」
「――――!」
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bkm
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