地図を見つめ、バルックが告げる。


「陽動という可能性もあるな……」

「わざと不審船を眼につかせ、本来は別の場所へ……という事ですか?」


 フィリアの言葉をバルックは頷く事で肯定した。

 敵も馬鹿ではないという事を、彼は言いたいのだろう。


「……向こうも馬鹿じゃないなら、セインガルドの周辺は通らない筈。鎖国状態であるアクアヴェルイルに向かったのも考え辛い……かな」

「だとすると残るはファンダリアとフィッツガルドだが……、ファンダリアは訳あって今は警戒体制にある、登録されている船以外は港に入れないし、他から上陸しようとすればすぐに牢屋行きだ」

「消去法で最有力はフィッツガルドか……」


 客員剣士の二人とオベロン社幹部の会話。

 スタンがそれに、意見を入れた。


「あのさ、飛行竜ってどうなったんだ?」


 その疑問に室内は暫しの間静かになった。

 何故そうなったか分からないスタンは、皆を見つめる。


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bkm

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