語るリオンは、終始眼を合わせなかった。

 セシルも、表向きは静かに聞き入っていたが、内心理解不能な感情が渦巻いている。


「……君の、順位の一番上に立っているモノって、何?」


 また、口が勝手に疑問を紡ぐ。

 目の前の少年は暫し無言の時を過ごした後、不意に彼女を抱き締めた。


「…………!」


 細身の身体は微かに震えている。

 それが何故なのか、彼女には分からない。


「僕が、一番大切なのは――」

『二人共ー、ちょっとイイー?』


 ドアの向こうからルーティの声がし、リオンは慌てて離れた。

 顔は赤く、それを俯く事で隠している。


「……な、何だい、ルーティ」

『スタンが眼を覚ましたのよ。それでバルックさんがアンタ達を呼んできてくれって言ってるんだけど……大丈夫?』

「ん、うん、大丈夫、すぐ行くよ」

『分かったわ、先行ってるわね』


 ドアの向こうの足音が遠ざかっていく。


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bkm

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