「セシル、ダリルシェイドに戻ったらどうだ……?」

「それは無理じゃないかなァ? 君も分かってると思うけれど」

「……ああ」


 カルビオラのオベロン社支部にて、上半身を起こしセシルはリオンの意見を真っ正面から否定した。


「せめて、前線に立つのは控えてくれ」

「そうなると後衛の護衛か……うん、分かった。また発作が起きたら迷惑しか掛けないしね」


 苦笑する彼女は何時も通り。

 しかし思い出される、昨夜の彼女。


「医者には……行ったのか?」

「いや、この任務が終わったら行こうと思ってたんだけど……」

「…………」

「……そ、そんな顔、しないで……エミリオ」


 色々感情が混ざり合い、どう表現したらよいか分からない少年の表情。

 彼女もどうしたらいいか分からず、気まずそうに俯いた。


「……バルックが」

「うん?」

「昨夜、バルックに会った時に言われたんだ……」


『私は人を助けるのに理由なんて要らないと思っている。この考えは誰かに強要されたモノでもないし、誰かに強要するつもりもない。
 だが全てを助ける事が出来るは出来ない。だから嫌でも順位をつけなくてはならない。
 リオン、君の今の行動は、君の順位の一番上にあるのかい?』


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bkm

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