「任せておいて、誰か来たら軽く気絶させるから」

「そうですね……運が悪かった、と思うしかありませんね」


 もしもの時の為にフィリアは祈る。

 彼女も相当、腹をくくっている事が理解出来た。


「行くぞ、感付かれたら面倒だ」

「そうだね、気をつけて」


 リオンを先頭に、地下へと進んで行く一行をセシルは見送る。


「……フン」


 彼女は知っている、この先にグレバムが居る事も、神の眼がある事も。

 その目的すらも。


「私は……」


 月光に栄えるステンドグラスを見上げる。

 少なくとも、この神殿が祀る女神が存在しえない事も知っている。


「私は、誰なんだろうねェ……」


 理解出来ない事なんて、無かったというのに。


「――グレバム!」


 フィリアが叫ぶと、祭壇に祀られた巨大レンズ・神の眼の前に立つ男は振り返った。

 男は神官である事を示すローブを着ているが、その野心が見え隠れする目付きや雰囲気は肩書きに全く似つかわしくない。


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bkm

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