「ルーティさん……」
「ん、何?」
少々明かりが落とされた廊下を歩く途中、フィリアが静かにルーティに声を掛けた。
「その……リオンさんと、セシルさん……大丈夫でしょうか……?」
「あー……パッと見は何とも無さそうだけど、公私混同しないってヤツかしらね。スタンが間に居るおかげで、問題は起きていないみたいだけど」
「そうですか……、スタンさんの存在は大きいですね……」
彼女達の後方では、微妙に距離を空けて歩く二人の間にスタンが居る。
彼は声を抑えつつ、普段の調子で二人と話していた。リオンは無視しているが。
「馬鹿正直というかお人好しというか……。よくもまあ、あんな面倒な事に首を突っ込めるわね」
「それが、スタンの良い所かもしれないな」
「そうですね」
「……何時か、痛い目見なきゃいいんだけどね」
ルーティのその言葉を聞いたのは、アトワイトだけだった。
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bkm
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