《そういえば坊っちゃんも昔、訓練ついでにやられましたよね……》

「うるさい……、アレはトラウマなんだ……」


 ディムロスと共にスタンが出て来たのは、五分程経った後だった。


「よし、行くぞっ」

「アンタ、ホント前向きよね……」


 受付に居た宿の主人に涼みに出ると伝え、彼等は神殿に向かう。

 神殿の場所さえ分かっていれば裏口を見つけるのは容易で、時間帯故か誰にも見つからず、すぐに目的地に到着した。


「昼間はあんなに暑かったのに、ちょっと肌寒いなー……」

「砂漠だからねェ……此処はまだ気温差が無い方だと思うよ。最大の原因は緑が少ない事かな」

「セシル、詳しいな」

「暇な時は本を読み漁ってるからね、付け焼き刃の知識だよ」


 マリーの言葉に苦笑し、彼女は夜の神殿を見上げる。

 外観は街に合わせているが、雰囲気はやはり異国のモノだった。




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bkm

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