噂のリオンは、眉間にシワを寄せていた。


「んー……今日もマーボーカレーかー」

「…………」


 ティアラのスイッチを片手に、彼は大きな寝言のスタンを見下ろしている。


「……コイツはきっと、起こしてもうるさいだろう」

《そう、ですね……》

「しかしだ、今の状況で外に出るわけにはいかない。他に部屋を取るわけにもいかない。セシルの部屋に行くのはもっての外。つまりは四面楚歌だ」

《…………》


 手引き役のフィリアが敵の懐に居る以上、必要以上の行動は避けなければならない。

 スタンの寝言は大きいが。


《ディムロス……何とかならない……?》

《何とかなるなら、既に何とかしている》

《だよね……》


 ただでさえ苛立っている少年が、更に苛立つ。

 シャルティエは、胃が痛くなりそうな気がした。


「セシル……」


 届きそうで、届かない。


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bkm

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