明らかに彼女は何時もと違う。
弱々しい、まるで迷子になってしまった子供の様な。
「……リオンにはこの事、話さないでもらえるかい……?」
「……分かったわ」
気づいているのだろうか、涙を流している事に。
「どうする、夜は待機しているか?」
「いや、大丈夫……。休めば大丈夫だから、予定通りに……」
「……そう。時間来たら起こすから、ゆっくり休んで」
ルーティが微笑むとセシルは頷き、再び横になった。
涙を拭う事無く、彼女は眠り始める。
「……リオンはリオンでめんどくさいけど、セシルもセシルでめんどくさいわね」
《でも話さないんでしょう?》
「言うなって言われたしねェ。他人の面倒事に首突っ込むなんて性に合わないし」
「ルーティは優しいな」
マリーの言葉を聞いた瞬間、ルーティは持っていた小銭を落としてしまった。
「何言ってんのよ……」
「だって、リオンに心配掛けたくないという彼女の気持ちを尊重するんだろう?」
「いや、だって……今グダグダなったらもっと面倒じゃない。ていうかこんな事ペラペラ喋られるわけないし。こういうのは、ゆっくりじっくり何とかした方が良いだろうし。
――大体アタシ、リオンに嫌われてるしさ」
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bkm
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