フィリアの案が一番の良案だが、スタンの心配も当然だ。彼女自身信者とは言え、敵の懐に飛び込む様な事である上に、グレバムに顔を知られてしまっている。

 しかし彼女は、強い眼と共に大きく頷いた。


「私は大丈夫です、目立たない様に静かに過ごしますから。それに、クレメンテが居ますし」

《うむ、その通りじゃ。フィリアはよく分かっておるのう》

「それが一番心配なんだけどね……」


 ルーティの呟きを、クレメンテは聞かなかった事にしマスターに賛辞の言葉を送る。


「リオン、彼女の案に賛成でも良いかい?」

「……ああ」


 セシルを見ずに、リオンは頷く。

 流石のスタンも二人の間にある溝に気付いたが、その前にフィリアが皆に一礼した。


「では、また夜に……」

「あ、うん、気をつけてな」


 スタンを筆頭に皆は彼女に言葉を送る。リオンだけは、非常に事務的なモノだったが。

 笑顔で再び一礼した後、彼女は神殿に向かい去って行った。



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