「あからさまだったわね」
「それ程に、この地の人達にとっては過去が大きく、そして根強いんだろう」
ルーティの溜息に、セシルが言葉を続ける。
フィリアは少々、浮かない顔をしていた。
「彼等には、彼等の信仰すべきモノがあるのですね……」
「不思議な話だな、幸せになりたいって思うのは皆一緒なのに」
スタンの言葉は正解であり、不正解だとセシルは思う。
それは他ならず、この地が証明している。
「……無駄話はそれまでだ。
神殿の場所が分かっても、正面から行ったのでばグレバムが居た場合厄介な事になる」
「じゃあ、夜に忍び込むって事か?」
リオンの代わりにスタンが彼の考えを口にすると、フィリアが進言した。
「あの、私が巡礼者として神殿に入ります。裏口を開けますので、皆様は夜になったら来てください」
「フィリア……一人で大丈夫か?」
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bkm
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