「アタシにはヘラヘラしてる様に見えんのよ、もうっ」
暑さで苛々しているルーティの後ろでは、フィリアとマリーが心配そうに彼女を見ていた。
「ルーティさん、大丈夫でしょうか……」
「ルーティは大丈夫、何時もの事だ。
それよりも私はフィリアの方が心配なのだが」
「えっ……わ、私は、大丈夫、ええ……」
頻りにハンカチで汗を拭いながらフィリアは微笑む。とても、大丈夫そうに見えないのは気のせいだろうか。
「色々と心配だなァ……」
セシルは呟き、地図を頼りに皆とリオンを捜す。
結果彼は、路地裏で町人であろう男と何かを話していた。
「リオン!」
「――! セシル……!? どうして……」
「どうしても何も無いよ、単独行動なんて誉められる事とは思えないけれど」
セシルは普段と変わらない穏やかさだが、内には確かに別のモノがある。
それをリオンは感じたが、押し黙る事はしなかった。