「食らいなさい! アイスニードル!」
空中に現れた十数の氷針がセシルを襲う。スピードはあるが直線的な攻撃を彼女は瞬時に判断し避け、黒髪の女性を視界に入れる。
しかし先程まで居た場所にその姿は無かった。
「囮……!」
何時の間にか真横に居た女性はソーディアンを奮う。そのスピードは速く、かなりの実力者だとわかるが、セシルは難なく剣で防いでみせた。
「流石強欲の魔女……でも、まだまだ」
「何っ……!」
剣を傾け刃を受け流した直後、手元を狙い褐色肌の女性と同じ様に背を使いソーディアンを弾き飛ばす。そして直ぐ様丸腰となった女性の腹部に肘鉄を入れ気絶させた。
「ルーティ!?」
《馬鹿者! 余所見をするな!》
ソーディアンの指摘虚しく、それを持つ金髪の青年はリオンの致命傷にはならない一撃を食らい地に伏せる。
《スタン! しっかりしろ、スタン!》
《シャルティエのマスターもあの子も……並の実力じゃないわね――》
《そりゃあ客員剣士の肩書きは伊達じゃ……いえ、何でもありません……》
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bkm
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