「それが、どの部屋にも居ないんだが――」


 困った様にバルックが言うと、偶然通り掛かり話を聞いていたらしい男性が彼に近寄り言った。


「リオン様でしたら、先程外へ行きましたが……」

「ええ?」

「もしかしたら情報収集に行ったのか……?」

「あー……そうかもしれないな……」


 セシルが溜息をつき立ち上がると、スタンも続いて立ち上がる。

 どうしたとセシルが問うと、彼はさも当たり前の様に言った。


「リオンを捜さないと、この町入り組んでるし、この暑さで道に迷ったら大変だよ」

「あ、ああ……迷子は無いと思うけど……、余所者が一人で彷徨くのは良くないからね……。
 一緒に捜してくれるのかい?」

「仲間なんだから、当たり前だろ?」


 スタンがそう言うと、他の面々も腰を上げた。

 その光景に、セシルは眼を丸くする。


「ったく、偉そうな事言ってるくせに、人騒がせな剣士様だことね」

「人が多い方が安心だろう」




prev next

bkm

[back]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -