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「コレ……ホントに羊?」

「うん、羊」

「そう……羊……」


 睨み合う少年と羊。飼い主が羊と言うのなら羊なのだろうとルーティは無理矢理自分を納得させる。

 その時窓を開けた音が聞こえ、リリスの声が皆の耳に届いた。


「お兄ちゃーん! マーボーカレーが出来たよー! 皆さんもどうぞー!」


 内容を理解したのかどうか分からないがジョナサンは去って行く。本当に羊なのか、姉弟は改めて釈然としない何かを抱いた。

 だが今は深くそれは考えず、皆が集まりつつある玄関前にスタンを含めた3人は足を向ける。


「つーか、アンタ地味に身長伸びた?」

「さあな」

「うーん……2センチくらいかな」

「目測で測るなっ、もう少し伸びている!」


 この関係は1年前と然程変わっていない事を実感しながら彼は歩く。


「アンタの妹にリンゴ貰った時、フライパンとおたまも進呈されたんだけどアレ何?」

「あー……死者の目覚めだよ、リリスの必殺技」

「伝授する気か……」


 この空も変わらない、それが如何にかけがえのない事か。


「今日は一段と天気良いよな」

「うん、快晴って正にコレって感じね」

「そうだな」


 彼は願い、そして誓う。


「空が蒼いのは良い事だ」


 この空の下で、彼等と共に生き続けられる日々を。


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bkm

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