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「お前、本当にこの女と旅をする気か?」

「うん、もちろん」

「ちょっとどういう意味よ」

「さあな」


 顔を背ける弟に姉は目尻を吊り上げるが、それだけに止まった。

 1年前より丸くなった印象の姉弟を静かに見ていたスタンは、ルーティに気になっていた事を訊く。


「ルーティ、今更なんだけど孤児院は大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃなかったら来てないわよ。どっかの“あしながおじさん”が自由になるお金無いくせに頑張ってくれてるからね」

「あしながおじさん?」


 誰だろうと思ったスタンだがそれは一瞬で終わり、隣に座る少年を見た。少年は軽く欠伸をしている。


「やっぱり凄いなリオンは、カルバレイスの方でもかなり頑張ってるんだろ? それに最近発見された新種のモンスターとか、新型のレンズとか……」

「僕は国の保証を付けて人材を派遣しただけだ。新しい村もまだ完成したわけじゃないし、トラッシュマウンテンの件だってこれからなんだ。
 モンスターやレンズに関しては原因が外郭だと判明し、その研究の主導権は国にあるから未だ楽は出来る」


 だから大した事は無い、その言葉を聞いても案の定スタンの眼は変わらなかった。


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bkm

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