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「やっぱりダメだったかな……」

「何がだ?」

「んー……ルーティと、約束してた事があってさ」


 ウッドロウが何故かエルロン家の屋根を見上げ、エミリオも気付き溜息を吐く。


「スタンさん、どんな約束を?」

「うん……一緒に旅をしようって俺が言って、ルーティは答えは未だ保留にしておく、何時か答えるやからって言って……」

「なるほど……」

「今日来てないなら、多分無理かな……」


 肩を落とすスタン、だがフィリアは微笑んでいる。


「ところで、どんな旅を考えておられるのですか?」

「え? えっと……あんまり深くは考えてないんだけど、色々勉強出来たら良いなとは思ってるかな、世間知らずのままじゃ駄目だと思うし。あと、勉強した事を生かせたら良いかなーって」

「素晴らしい考えですわ、実際見聞きする事が何よりも身になりますから」

「ありがとう、……でも……」


 珍しく溜息を吐くスタン。だが皆の施設は彼ではなく屋根に向けられている。


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bkm

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