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 彼の意見をエミリオが即座に切り捨てた。


「1年前お前が今回の提案を出した時も言ったが、首都では色々騒がしくなるに決まってる。しかもこの1年で僕達には“英雄”などという大層な肩書きが付き、うっかり名乗れば仕事に支障が出る時だって……迷惑な話だ」

「そんなに大変なのか……俺の周りは至って普通だけどなァ」

「確かにこの村の様子には驚く所はある。フィリアは教団のシンボル、ウッドロウは英雄王、僕は名前を戻したからまだ良いかもしれんが……予想以上にのんびりしているな。それが見てみたいという理由も無かったわけではないが……」

「アハハ、それがウチの村のウリって言うのかな? 一応港やこの辺り一帯の整備したり、あの尾根を調べたりしてるんだけどさ」


 のんびりなのが売りなのにモンスターの山を築き上げている点には触れない方が良いのだろうとエミリオには己に賢明な判断を下す。

 そんな彼が居るこの場は再会の喜びに満ちていた。


「お久しぶりですスタンさん、お元気そうでなによりですわ」

「フィリアも元気みたいで良かった。確か前に貰った手紙に、ハーメンツの人達と集落を作ってるって」

「はい、どんどん賑やかになってますよ」


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bkm

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