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「……んがっ……!?」


 到着し皆が村を見渡しめ始めた早々にコングマンが驚愕した表情で硬直する。その原因に心当たりがあったエミリオは、彼の視界の先に居る人を見た。

 クワを振り上げ畑を耕している老婆。足腰がしっかりしており、仕事をする表情もイキイキしている。


「……アレが、“荒くれのマギー”か」

「ノイシュタット闘技場のチャンピオンだったってアレですか? 普通の婆さんに見えるけど……」

「いや、よく見ろジョブス……クワを振り上げた時の腰の落とし方、タダ者じゃない……」


 楽観的なジョブスにウイルが警戒しつつマギーらしき老婆を見つめた。すると老婆は不意に顔を上げ、兵士2人に不適な笑みを見せる。


「……前言撤回するわ……」

「それが賢明だ……」


 タダ者ではない老婆と兵士が睨み合いをしていると、今度は老翁が満面の笑顔でルウェインに歩み寄ってき来た。


「ルウェイン殿!」

「おお、トーマス!」


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bkm

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