「そうだ、リオンっ」
「え?」
水を飲みながら話を聞いていたエミリオが驚いていると、マリーは今日一番の眼の輝きを見せる。
「オベロン社でねこにんスーツを売り出してみないか!?」
「は……?」
「絶対売れると思う!」
「あ……えっと……け、検討は、してみるが……」
この眼を前にして首を横に触れる者がいるのだろうかと、エミリオだけではなく他の者も同じ事を思っていた。
それから半ば逃げ出す形で再び甲板に出ると、今はそこに髭を伸ばし始めたらしいウッドロウの姿があった。
「リオン君か、体調は大丈夫かい?」
「まあな……しかしよく国を出れたな。将軍はともかく、一国の王であるお前が」
「ダーゼンとダリスが居るからな。それにこの日の為に仕事をかなり詰めた、その努力が実ったと言ってもいいだろう。
リオン君もそうなのでは? 最近は不休で仕事をしていたと聞いていたが」
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bkm
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