「しかしルウェイン様、よく休暇が取れましたね」
「以前、トーマスに会いに行くとスタン君に言ったからね。君達の“約束”に失礼ながら便乗したまでだよ」
「そうですか……」
気になる事を訊こうとしたエミリオだが、何となく訊きづらく黙ってしまう。だが、代わりにフィリアが質問をした。
「ルウェイン様はスタンさんのお祖父様と知り合いだったそうですが……」
「ええ、かつての部下だった……が、実の所それだけではなくてね」
何故か失笑している、だが何処が清々しさを感じさせる笑顔。
首を傾げている若い2人にルウェインは説明した。
「実は……トーマスは恋敵でね。若い頃はスタン君のお祖母様をめぐってつまらない喧嘩を繰り返したものだ」
予想外過ぎた話に茫然とするエミリオとフィリア。それは予想通りだったのかルウェインは楽しそうに笑っている。
「世の中分からないものだなぁ」
「……そ、そうですね」
「本当に……」
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bkm
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