シャルティエは、マスターに対しどんな言葉を掛けたら良いか分からない。
慰めは、更に彼を傷付ける。
「5年前、ヒューゴが彼女を僕の付き人だと連れて来た時……僕が、彼女になんて言ったか覚えているか?」
《それは……》
「“ヒューゴの手先に用は無い”だ。そのせいでマリアンには叱られた事もあって、彼女への第一印象最悪だったな」
呆れ気味に苦笑するリオンだが、酷く哀しそうだとシャルティエは思った。
そして、子供だったのだから仕方ない、と言いそうになる所だったが口をつぐむ。
「マリアンと仲良くしている事にも嫉妬した事もあり邪険に接して……だけど彼女は、僕が困っていたら何時でも助けてくれた。時々嫌味を言いながら、護ってくれた。
そして今、僕は彼女と親しくしているスタンに嫉妬している。
その上、情けない事に僕は……彼女に甘えて、護られてばかりだ……」
この旅も、彼女の存在が無かったら、そう考えずにはいられない。
「僕を助けてくれる理由が、仕事だから仕方なくでも構わない……彼女が僕をどんな風に見ていてもいい……、僕は……僕が、彼女を護りたい」
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bkm
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